愛車とのお別れドライブで美瑛に行ってきた
先日、15年乗り続けた愛車を車検に出そうとした。ところが点検して貰ったところ、リアのサスペンションはボッキリ折れてるわ、ブレーキに異常をきたしているわ、車体下部の腐食が進んでいるわと、それらの修繕を行い車検を通すだけでも30万近くかかり、さらにはいつ多額の修理費用がかかるような故障が起こるとも限らないという、このまま乗り続けるにはかなり厳しい状況であることがわかった。
そこで急遽新車を購入することに決定。新しい車が納車されるのはまだ先なんだけど、長年連れ添った愛車とは車検の切れる今月でお別れということになってしまった。
車検が切れる2日前の金曜日。最後のお別れドライブに行くことにした。
天気予報は曇だったけど、翌日の予報でも曇だし野球のデーゲームを見なきゃならない、ってことで、この日に出かけることに。
行き先は、私の住んでる旭川から約30分ほどの距離にある「丘のまち」美瑛。
この車を買ってすぐに訪れた北海道のなかでも最も魅せられた土地であり、私が北海道へ移住するきっかけを作ってくれたと言ってもいい思い出の場所。
別れを惜しむのに、これ以上相応しいところはないように思えた。
パッチワークの路
まずは幾度となく走った道を通って、「パッチワークの路」と呼ばれるエリアへ。
案の定、空のほとんどを雲が覆っているので、写真を撮る意欲はいまひとつ湧いてこない。
一応、わずかに覗く青空に向けてシャッターを切ってみる。
こういう日は空はあんまり入れずに、表情豊かな美瑛の大地を撮ったほうがいいかな。
ジャガイモ畑はようやく白い花をつけ始めたところ。
7月上旬から中旬にかけてこれが満開となり、見事な景観を見せてくれる。
お気に入りの白樺並木も、背景が真っ白だとあんまり絵にならないなぁ。
丸い樹形のカシワの木、通称「セブンスターの木」。
ゆったりとした曲線を描く畝。
ふっさふさの麦。
有名なフォトスポット、「親子の木」。だったんだけど、昨年の強風で2本の木の間に立っていた子供の木が倒れてしまい、夫婦だけの寂しい姿になってしまった。
こちらも美瑛のシンボルツリーのひとつ、「ケンとメリーの木」。立派なポプラ。
bi.ble(ビブレ)
「パッチワークの路」をうろうろ走ってたら、予約しておいた時間になったので、北瑛地区にあるオーベルジュ「bi.ble(ビブレ)」へランチをいただきに行く。
クロワッサンなどのパンが美味しいので、何度かベーカリーには行ってるんだけど、食事をするのは初めて。
3種類あるランチコースのなかから、中間の3400円のコースを選択。
一品目は、冷めないように布袋に入れられた、焼きたてのジャガイモのパンが出てくる。いきなりパンから始まるコースって珍しいな。
表面はカリッカリで中はもっちもち、美味しいジャガイモならでは甘味もあって、これがもう旨いのなんの。
コースの他の料理が出てくる前に、食べ尽くしてしまいたくなるような衝動にかられた。
次に出てきたのが「丘のプラトー」と名付けられた見た目にもキレイなファーストディッシュ。
美瑛産野菜を使ったピクルスやラタトゥイユ、サーモンのマリネ、そして肉とレバーのペースト。
ペーストをジャガイモのパンに塗って食べると、美味しさの相乗効果が発揮されて、さらに幸福な味わいに。
小さなカップに入ったコーンスープ。甘み抜群でもっともっと飲みたくなる味。
アスパラガスと卵黄のコンフィ。
この時期にこのレストランに来たのはアスパラが食べたかったからと言ってもいい。穂先は甘くしっかり豆の味がわかり、根元はみずみずしくてジューシーで、期待通りの美味しさ。
卵黄に絡めるのはいいんだけど、ちょっと酢の臭いがキツいのだけが気になったかな。
口直しのサラダ。
そしてメインの美瑛豚すね肉の煮込み。
お皿に盛り付ける前に、わざわざ鉄鍋に入った状態を見せに来てくれるという演出も嬉しい。
豚すね肉はとろっとろに柔らかく、金時豆のソースとの相性もいい。
さらにジャガイモのグラタン。
バターの香りが豊かでこれまた絶品。
デザートはフレッシュチーズのクレームダンジュ。生クリームとクリームチーズとメレンゲを使ったふわんふわんのスイーツ。これまた唸るほど美味しい。
昨年訪れた同じところが運営している「アスペルジュ」も驚くほど美味しかったけど、この「bi.ble」もそれに劣らない満足度だった。
国道沿いに位置するアスペルジュよりも、大きな窓から美瑛らしい風景を眺めることができる、このbi.bleのほうが環境はいいしお勧めかな。パンも飛びきり美味しいしね。
北西の丘展望公園
ピラミッド形の展望台のある「北西の丘展望公園」へ。晴れていれば彼方に十勝岳連峰を望む好景を見ることができるんだけど、天気の悪いこの日はレンズを向けたくなるような風景は見られず。
そのかわり、展望台の近くには、黄色いタンポポモドキ(ブタナ)とオレンジ色のコウリンタポポが競うように咲き乱れていた。メルヘンチックな光景。
鮮やかなオレンジ色が印象的なコウリンタポポ。「ビーナスの絵筆」とも呼ばれている。
白樺の木陰から花畑を覗いてみる。
花の付き方はコウリンタポポで、色はタンポポモドキという花。
初めて見たけど、なにこれ?え、まさか交雑種?とか思ったけど、キバナコウリンタンポポという種らしい。ふーん、そんなのあったんだ。
とってもカラフルなルピナス。
丘の裾にはラベンダー畑もあるんだけど、ようやく穂先に紫色のつぼみがつき始めたところで、まだ見頃までには2週間くらいはかかるかな。
四季彩の丘
続いては観光花園「四季彩の丘」へ。
名前が示す通り、四季折々に多種多様な花々が広大な丘を彩る、このエリアでも指折りの花の名所。
まだ本格的な花のシーズンには少し早いので、畑の半分くらいは茶色い土や花の咲かない緑に覆われている。
涼し気なブルーのネモフィラ。
妖しいほどに真っ赤なポピー。
フラックス(亜麻)。清楚な青色に見とれてしまう。
向こうの丘では、これから咲き始める花畑を手入れする人達が。
美瑛や富良野へ行くと、当たり前のように見事な花畑が広がっている光景を目にすることができるけど、こういう人達の地道な作業があってこその美しさだということを改めて認識する。
赤、紫、ピンク、青、黄、白と、まるで色鉛筆のようにカラフルなルピナス。
こちらにもつぼみをつけ始めたラベンダー。
今年は日照不足のようだけど、キレイに色づいてくれるかな?来月の見頃が楽しみ。
牧草ロールでできたロールちゃん。総重量1.6トン以上のド迫力ボディだ。
ジェットコースターの道
上富良野の「ジェットコースターの道」。
その名の通り、まるでジェットコースターのように大きくアップダウンを繰り返す長い直線道路で、丘や遠くに望む山々の景観も素晴らしい。
まだ新車だった頃の愛車で、何度も往復したのを懐かしく思い出す。
その頃にはちょっとした穴場スポットで、通る車もほとんどなかったんだけど、時が経った今では、頻繁に観光客の車が行き来する人気の観光スポットになった。
マイルドセブンの丘
留辺蘂や五稜の丘をぶらぶら巡ってから、「パッチワークの路」に戻ってくる。
最後に「マイルドセブンの丘」の上へ。
麦畑の向こうに、なだらかな丘が広がっているのが見える。
「兄弟の木」と呼ばれる2本のポプラ。高齢なのか以前と比べると痩せてきたなぁ。
傾いていく陽を眺めながら、美瑛を後にし、旭川への帰路についた。
というわけで
お別れドライブの二日後の今日、愛車をディーラーに持って行った。もう、家の前の駐車場に見慣れた黒いボディはなく、代車として借りたピカピカのコンパクトカーが停まっている。
あまりモノに対して愛着を抱くようなことはなく、クルマも単なる便利な道具のひとつという考えではあったのだけど、やはり長年お世話になったものとの別れには寂寥感が付きまとう。
とりわけ、私にとってクルマはパソコンと並んで豊かさや快適さを与えてくれる不可欠なものであったし、それなしでの生活は考えられないほど私の人生に寄り添ってくれたツールだった。
15年間、20万5千km。日常の足としてだけでなく、旅行やキャンプなど数えきれないほどの思い出を乗せて走ってくれた。一度も自分起因の事故は起こさず(1回追突されたし、スピード違反は3回やらかしてるけど)にいられたことにも感謝したい。
長い間お疲れ様、ストリーム。たくさんの思い出をありがとう!